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問題1

図 21: DNSという色素でラベルした免疫グロブリンの蛍光偏光度。 温度と水溶液中のsucrose(砂糖)濃度を変えて、溶液の粘性を変化させて測定したもの。左図は、 同じsucrose濃度について、右図は、同じ温度について直線を引いた。
\includegraphics[width=10cm,clip]{problem1.eps}

21はDNS色素でラベルした免疫グロブリンというタンパク 質の蛍光偏光度($ P$)を測定したデータである。溶液中にサッカロースを加 えて粘性を変えて、さらに種々の温度で測定したデータを、左図は同じサッカ ロース濃度について直線を引き、右図は同じ温度について直線を引いたもので ある。蛍光偏光度$ P$とは、慣用的に用いられるパラメーターで、入射偏光に 平行と垂直のふたつの偏光蛍光成分$ I_v$$ I_h$を用いて、

$\displaystyle P = (I_v-I_h)/(I_v+I_h)$ (43)

と定義される。テキストで記述している蛍光異方性rとは、

$\displaystyle r =2P/(3-P)$ (44)

と関係づけられる。この蛍光偏光度$ P$を用いると、テキスト本文11式の ペラン・ウェーバーのプロットは、

$\displaystyle (\frac{1}{P} - \frac{1}{3}) = (\frac{1}{P_0} - \frac{1}{3})(1+\frac{k_{B}T\tau}{\eta V})$ (45)

と書くことができる。図21の右図から、

切片($ 1/P$ 傾き( $ g/(K\cdot cm \cdot sec$))
10 2.51 $ 1.20\times 10^{-5}$
20 2.59 $ 1.18\times 10^{-5}$
35 2.73 $ 1.12\times 10^{-5}$
45 2.85 $ 1.08\times 10^{-5}$


となる。ここで、切片とは $ T/\eta \to 0$$ 1/P$の値、傾きとは$ T/\eta$に対する$ 1/P$の変 化量である。この値と緩和時間 $ \tau =10nsec$を用いて、各温度における免疫グロ ブリンの回転体積$ V$を算出せよ。回転体積の温度依存性について、考えられる 原因をあげよ。また、免疫グロブリンの分子量150000と比重$ 1.2g/cm^3$を仮定し て、免疫グロブリン1分子が占める空間的な体積を算出し、回転体積と比較せ よ。(計算の際、数値だけを計算するようなことをせず、必ず単位も式の中に 入れて計算すること。これにより、$ V$が体積の次元になっていることを確認せ よ。)