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: 問題 : レポートの書き方 : レポートの形式

考察の視点

実験1
純水を試料として測定した散乱スペクトルから、次のことを確認する。 励起波長を変えたとき、発光スペクトルはどのように変化したのか、発光波長 を変えたとき、励起スペクトルはどのように変化したのか、についてまとめ、 これらの結果から、光によって励起された分子とその後の発光の過程について、 どのようなことがわかるかを考察する。
その他の測定条件を変えたときに、スペクトルは見かけ上どのように変化する のか、その原因について考察する。

実験2
蛍光異方性の測定の原理、蛍光異方性を変化させる要因について考察する。
ローダミンBの蛍光異方性の励起波長依存性にどのような特徴が見られるかを 考え、その原因について考察する。

実験3

蛍光異方性$ r$と蛍光強度を各温度について算出し、温度に対してプロットす る。蛍光異方性の温度変化の原因を、蛍光異方性の定義から考えて、まず、定 性的に(直観的な)説明を試みる。さらに、定量的に解析するために、参考文 献 [5]のグリセリンの粘性データを用いて、変形ペランウェーバープ ロットを行う。データにばらつきがあっても大胆に直線をひいて、切片と傾き を算出する。ペリレンの室温での$ \tau$を5nsecと仮定して(APPENDIX参照)、 ペリレンの回転体積を求める。また、切片から$ r_0$の値を求める。得られた 回転体積や$ r_0$の値が妥当か否かを考えることで、ペランウェーバーのモ デルと実際の溶液中での分子の回転運動との関連について考えて見る。

実験4
蛍光異方性と蛍光強度を各温度について算出し、温度に対してプロットする。 ペリレンの室温での$ \tau$を5nsecと仮定して、各温度での蛍光寿命をその強 度から算出する。DPPCの相転移温度および相転移前後での変化の温度依存性を DOPCと比較しながら考察する。ペリレンは疎水的な蛍光分子で、水にはほとん ど溶けず、また水中での量子効率は低いので、観測された蛍光異方性は、ペリ レンの膜中での分光特性を反映している。余裕があれば、水の中に形成されたミ クロな膜の柔 らかさとはどの程度なのかを直観的に理解するため、実験3の結果を用いて、 各温度での蛍光異方性の値を粘性に変換して、脂質リポソームの疎水性部分の 粘性を一般的な溶媒の粘性と比較する。

実験5
アクセプター(ローダミン)濃度の異なる発光スペクトルをまとめてプロッ トし、アクセプター濃度によってスペクトルがどのように変化しているかを観 察し、その原因を考察する。

アクセプターの濃度に対して、ドナー(NBD)の蛍光とアクセプターの蛍光の ピーク値をプロットし、エネルギー移動の効率を考察する。両者は重なってい るので、精密な解析のためには、適当な方法で分ける必要があるかもしれない。 その場合には、重なったふたつのスペクトルから、それぞれの成分の強度を見 積もる方法を考える。また、NBDの励起波長でローダミンもわずかに励起され るため、エネルギー移動ではない直接の励起によるローダミンの発光も含まれ ていることに留意する。

実験6
共鳴エネルギー移動の生成と解消の実験それぞれについて、発光スペクトル をプロットする。また、PEGの濃度に対して、ドナーとアクセプターの蛍光の ピーク値をプロットし、膜融合がどの程度進行したかを考察する。