家庭や事務仕事で使用される計算機の多くは、Windows や Mac-OS が OS として 使われています。これらの OS では、計算機を立ち上げたあとで、通常は、マウスを用い て、デスクトップ上にあるアイコンをクリックしたり、メニューボタンから選択 することで、ワープロやWWWブラウザーなどのアプリケーションソフトウェアが、 新しい「窓」で立ち上がります。このように、ユーザに対する情報の表示にグラ フィックを多用し、ほとんどの基礎的な操作をマウスなどのポインティングデバ イスによって行なうことができるユーザインターフェースのことを、GUI (Graphical User Interface)と呼びます。 stex で用いている FreeBSD では、他の UNIX系の OS と同様に、GUI として、 X Window System (略称は X または X11) と呼ばれる GUI を採用しています。
それに対し、ユーザーに対する情報の表示を文字によって行ない、操作にはキー ボードだけを使って行なうユーザインターフェースのことを、CUI(Character User Interface)と呼びます。また、同様な意味で CLI(Command Line Interface) という名称が使われることもあります。UNIX では CUI のことをシェル 10と呼びます 11。 CUI では、画面上に命令の入力を促すプロンプ トと呼ばれる文字列が表示され、ユーザがそれに続けてキーボードからコマンド (命令)を入力し、コンピュータに指示を与えます。コンピュータはユーザーの入 力に対して結果を表示し、再び入力が可能な状態になると改行して行 頭にプロンプトを表示します。この繰り返しで対話式に作業を進めていくのが CUI です。
GUI と CUI には、それぞれ長所と短所があります。画像を表示したり変更した
り、作図するようなアプリケーションソフトウェアでは GUI は必須です。また、
GUI では、一般に「メニュー」から求める操作を選ぶことが出来るので、初心者
でも比較的簡単にソフトウェアを使うことが出来ます。しかし、GUI は一般に、
ユーザーの入力を求めるのにも新しいグラフィカルな窓を生成する必要があるな
ど、快適な環境のためには、高速なハードウェア資源を要求します。このように、
高度なハードウェア資源を要求し、処理に時間のかかるソフトウェアのことを
重たいソフトウェアと呼びます。それに対し、CUI はすべて文字だけ
で操作できるので、高速に応答が帰って来て、軽いソフトウェアです。
例えば、新規にディレクトリを作成する場合を考えます。Windows の GUI では、
エクスプローラーを立ち上げて、マウスのクリックで作成したい親ディレクトリ
まで到達し、右クリックで「新規作成 ->
フォルダ」を選択し、できたフォルダ
にキーボードで名前を入力します。UNIXのシェルでは、キーボードから、
% mkdir some_dir/new_dirと入力し、リターンキーを押すだけで同じ操作が出来ます。どちらが早く出来る かは明らかでしょう。ただし、CUI ではコマンドを知らないと操作できません。 CUI を使いこなせるようになるには、多少の「修行」が必要です。これから、数 十年にわたって計算機を使って行く皆さんには、是非、CUIの使い方を覚えて、 快適な計算機ライフを送って頂きたいものです。